5 人的ネットワーク形成手法
 
 この研究分野においては、教員以外の他分野の専門家との交流を通じ、人的ネットワークづくりについて研究進めた。
 
  他府県との交流@ 山口県 林 徳治 山口大学教育実践センター教授
 
  他府県との交流@ 滋賀県 宮田 仁 滋賀大学教育学部教育実践総合センター教授
 
  他府県との交流@ 岡山県 河内一郎 岡山県立瀬戸南高等学校教諭
 
@多業種からなる地域ネットワークの形成方法
 
A全国の教員などとのネットワークの形成方法
IT先進県である岡山県の著作権について先進的な岡山県立瀬戸南高等学校の河内一郎教諭に第4回公開授業と教育用デジタルアーカイブを考えるセミナーで人的交流をおこなった。特に教育用デジタルアーカイブを考えるセミナーでは、
4・5と「教育用デジタルアーカイブを考えるセミナー」との関連性の追求
 
 
教育用デジタルアーカイブを考えるセミナーについて(実施報告)
 
1.趣旨
 
平成16年度実施中の教育情報の共有化実験に関して、これまで構築してきた社会科デジタルアーカイブの成果を確認するとともに、これを発展、拡大するための今後の指針を得る。
特に課題となる著作権等処理の考え方、有益な教材素材とは何か、ネット上でどう共有するかといった問題、あるいはITに馴染み薄い教員にどう浸透させてゆくかといった問題を具体的な事例をもとに議論し,問題解決に向けた人的ネットワークの形成を促したい。
 
2.主催者 大阪府高等学校社会科(地歴・公民)研究会
 
3.協力  NPO法人マルチメディア・エデュケイショナル・フォーラム
 
4.日時  平成17年2月5日(土)10時〜17時頃
 
5.場所  国立民族学博物館 第7セミナー室
 
6.プログラム
 
  開会挨拶 戸谷健三(大阪府高等学校社会科研究会会長)
  バックヤードツアー 案内 久保正敏(国立民族学博物館教授)
 活動報告1
久保正敏(国立民族学博物館教授 NPO法人MEF理事長)
「文化資源のアーカイブズ −人知・文化・世界遺産の保存と共有を目指して−」
→国内でも最も進んだ「みんぱく」のアーカイブ技術の現状と課題を学問的見地から報告いただいた。
 
 活動報告2
  宮田 仁(滋賀大学教育学部教育実践総合センター教授)
「滋賀県における教育用デジタルコンテンツの現状と課題」
→滋賀県が行った教育用デジタルアーカイブプロジェクトの取組みの成果と問題点を報告いただいた。特に「本当のインタラクティブは,人と人との対話によって生まれる」というご指摘に共感できた。討論や質問がすすままない学生への対応策として携帯電話を取り入れた講義など我々にとって大変興味深い内容であった。
 
 活動報告3
河内一郎(岡山県立瀬戸南高等学校教諭)
「著作権に配慮したディジタルコンテンツ利用の試み 〜岡山での取り組み〜」
→岡山県は情報化が全国で最も進んでいる県の一つである。学校情報システム、教材の電子化、アーカイブプロジェクトなど現状がどうなっていて、大阪府とどう違うか、情報共有化のボトルネックとして何に注目しているか、などについて報告いただいた。
 
 活動報告4
竹内 勉(潟Xカイ e-ソリューション事業部商品研究部 部長代理)
「教材の使い方を記録し、再現する新しいソフトの提案」
→教育用アーカイブの効果的利用を可能にする新しいソフトを実演を交えて紹介していただいた。
 
 活動報告5
「自らが作るディジタル教材とそれを使った実践授業」
斉木英範 大阪府高等学校社会科研究会、府立北千里高等学校社会科教諭
→年金問題をめぐる一括した指導の試みとしてパワーポイントを使った授業実践の報告と問題提起があった。
 
 パネルディスカッション 「教育用デジタルアーカイブの可能性とその活用促進」
(パネラー)
・久保 正敏  国立民族学博物館教授
・宮田  仁  滋賀大学教育学部教育実践総合センター教授
・山田時比古  大阪府高等学校社会科研究会
大阪教育大学附属天王寺校舎社会科教諭
・斉木 英範  大阪府高等学校社会科研究会
大阪府立北千里高等学校社会科教諭
・河内 一郎  岡山県立瀬戸南高等学校教諭
・竹内 勉   潟Xカイ e-ソリューション事業部商品研究部部長代理
・林  徳治  山口大学教育実践センター教授 ※TV電話による参加
・北川 敬一  大阪府立牧野高等学校教頭   ※同上
(司会進行役)
・勝井健二   MEF副理事長
 
→個別発表を踏まえて、IT活用授業をどうすれば促進できるのか、どんなアーカイブがよいのか、アーカイブだけでいいのか、少数の教員の取組みを広げ、持続させていくにはどのような仕組みがあるのか、などを議論した。
→山口大学林教授からは,「デジタルアーカイブを使ってどう学力向の向上をはかるか,の視点がないと,黒板やプリント1枚に負ける」などのご指摘をいただいた。
 
 今後の方向について  山田時比古
・「クリエーティブ・コモンズ=入会地」にみんなで参加しませんか」という趣旨の呼びかけ(大阪宣言)がなされた。
 
7.参加者は,62名 研究者,高校教員,博物館学芸員,IT技術者など多岐にわたる方々のご参加をいただいた。
 
8.参加者の感想より(抜粋)
 
@午前中のバックヤード・ツアーについて
 
・もう少し時間があれば良かったけど,良い経験になった。
・もっとじっくり見学したかった。久保先生の生の説明がとてもよかった。
・展示されているもの意外にも,こんなにたくさんの物を置いておられることがわかり大 変驚きました。今回カメラを持参しませんでしたので次回またの機会があれば参加させ ていただきたいです。
・初めて見る物が多く,めったに見れる機会がないので,ありがたく思います。やはり, 見ることで説明がすっと入ってゆくという感じでした。子どもたちにも多くのものを見 てほしいという願いが強くなりました。
・展示されている物はごく一部で,資料の多さに驚く。また,現物から展示にするための 模造のモデルになっている。仕事の大変さ,それが研究なのかと思いました。いろいろ な文化財が雑多に並んでいるのにも驚く。現地との交流,文化遺産の喪失を防ぐことに なるとの話に興味を持った。
・非常に面白かった。貴重な体験をした気分になった。
 
*久保先生が収蔵庫不足の対策として話されていた「収蔵庫の展示」はわれわれのような 一般の者にとっては,貴重な体験になる。面白い発想だと思う。一つの展示物の裏には さまざまな文化(背景)があることが想像できて良いと思う。
 
A午後の講演/活動報告/パネルディスカッション について
 
・久保教授:「文化資源」の概念,国家(民族)間の差の問題など大変勉強させて頂きま した。
・久保先生:利用と保存の相克がよかった。マルティメディアの元の意味。
・宮田教授:NICERの教材コンテンツの他,地域のコンテンツ作りに尽力され,学校 教育のIT化を推進されているご努力に敬意を表します。NPOの活躍のご期待にお応 えしたいと存知ます。
・宮田教授のパワーポイントの効果的使用法,ケイタイの有効活用のお話など,大変興味 深く,また,相互のQ&Aも効果的情報交流と思いました。
・宮田先生のケータイの授業への活用に関心がある。
・宮田先生:教育用ディジタルコンテンツについて,考えさせられました。今後,教室に て利用するとは聞いていましたが,素材で利用するか,考え方の視点について教えられ ました。
・実際に活用されているのを見せていただくと,こういう使い方ができるのだと,新たな 教材開発にもつながります。パッケージ型,資料型どちらもあると,教師は助かります。 やはり方法を知りたがる教師は多いですから…。
・パネルディスカッション:進行役が張り切りすぎのように感じたが,結果的にはよくま とまっていた。
・パネルディスカッション:興味深くかつ楽しく参加させていただきました。
・TV会議もフリ−ソフトで実現できるのだ。
 
B全体として
 
・静止画像だけではない,動画を取り入れることのできる広がりはすごいなとあらためて 思いました。是非今日教えていただいた授業のアイデアを現場で取り入れていきたいと 思います。とても勉強になりました。
・板書と教科書だけの授業に限界を感じていた。インターネットやパワーポイントを使っ た授業をやってみたいと思っていたところだったので大変参考人になった。
・ITを導入すればそれでうまくゆくというのは幻想で,授業内容と教材をよほど吟味し ておかなければならないし,機器を操作するスキルをしっかり身につけておかなければ ならない。ITを目的化せずに,授業の目的をしっかり持って道具として利用していか なければならないと思う。
・Educational Demand(教育的要求?)はあるのか?という問いかけに,教室でできるこ とからやってゆこうと思いました。
・とても刺激的でした。デジタルアーカイブって何?と思っていたのですが,少しわかり ました。どんどん授業の変わっているんですね。旧態依然のような自分の授業も考えな くてはと思いました。
・授業で実際パワーポイント等を使って今後やってみたいと刺激を受けた。e-japan構想 が口ばかりではなくて,早く実現して,各教室で実施できる環境になればと思う。
・だいたいデジタルアーカイブという言葉すら知らない者には,雲の上の話し。皆様の話 しはよくわかりましたが,このような授業が今後おこなわれていくのかなあと思ってい ます。
 
HPでは 平成16年度 教育情報共有化促進モデル事業の記録・報告 のページをご覧ください。
 


 
このページの最初に戻る
 
次へ
 
前へ