3 授業用デジタル教材の実作活用・支援手法 
 
− IT活用・共有化に向けて −
 
IT講習会の実施
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教員のIT技術の取得 
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成果発表を兼ねた公開授業(4回)の実施
  ↓
共有化のノウハウの蓄積・問題点の検討
 
  公開授業@〜Dの実施 → 詳細はHPご覧ください
公開授業@ − IT初心者の初めてのIT活用授業例 −
公開授業A − IT上級者のIT活用授業と著作権問題 −
公開授業B − IT初心者のIT活用ビジュアル授業の試み −
公開授業C − 生徒に対するIT・プレゼン能力指導法の考察 −
公開授業D − 身近な地域をCGで描いてみよう −
世界史部会 − ワードとインターネットを使った世界史プリント作成講座
          開催事業報告参照
 
公開授業から得られた成果・今後に向けての課題
 
この研究課題は、IT活用経験の少ない教員が、外部支援者のサポートを受け、デジタル教材の作成、実践授業を行うことにより生じる諸問題について試行・研究を重ねた。
 
公開授業の実施報告
各公開授業の詳細に関してはHPを参照してください。
 
公開授業@では、清友高校増田真弓が教諭3年生「世界史A」の授業で、「アフガニスタンについて学ぼう」というテーマで地雷で足を失ったアフガニスタン少女を通じてアフガニスタンの現状NGOの活動を知り、平和の尊さを理解することを目標に実施した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
公開授業Aでは、北千里高校斉木英範教諭が1年生「現代社会」の授業で、「年金問題から政治過程(政党・国会・選挙)を学ぶ」というテーマで、パワーポイントを使った授業実践をおこなった。この公開授業ではまた、他人の著作物をデジタル化して教育利用する場合の著作権法上の問題点を検討した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
公開授業Bでは、大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎の笹川裕史教諭が、「遣唐使〜東アジアの中で考える」〜世界史的視点から〜というテーマで、遣唐使を迎え入れた唐側の視点も加え、東アジア世界の中での「遣唐使」の意義を生徒たちと考察する手段としてパワーポイントを活用した例として実施した。発表者の笹川先生はPCを使い出して1年あまり,パワーポイントは初めて取り組んだ。古代東アジアでは文献資料が多く図や地図を見るだけでは不十分なので文献資料をいちいち資料集を開かせずに授業を進めてみたかった。共有化によってファイルを共有できる方向にしてほしいという意見が多かった。(出席者:22人)
参加者の意見から
・効果的であった。・日本史でも活用できると実感した。・図や絵を見せるのには有効。文字史料は難しい・暗くて補足事項が書けない・民間のプレゼンでは導入に使用し、本当に検討するときは資料でおこなう・生徒が下を向いていて、新しいページに気づかないことがあったようだ、何か工夫はないか。等多くの意見交換がみられた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
公開授業Cでは、東淀川高校の金田修治教諭が、3年生「地理演習」の授業で、「ツアーコンダクターになろう」というテーマで生徒の模擬体験をパワーポイントによってまとめさせ、あわせてプレゼンテーションをさせるという試みを実践した。
ここでは、デジタルコンテンツの作成、プレゼンテーションソフト法の教授法、さらには、プレゼンテーション手法も指導し今日における必要なIT度を高める試みがおこなわれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
公開授業Dでは、コンピュータグラフィックソフトを使って学校の周辺地域の立体地形図を描きました。
 柏原東高校は、眼下に大和川を見下ろす風光明媚な場所にあり、正面に芝山を望み、その西側には松岳山(まつおかやま)古墳、近くには高井田横穴群があり、また本校は平尾山古墳群の一部を造成して建てられています。
 その昔、難波津から入った外国の使節は1704年の付替え以前の旧大和川をさかのぼり、生駒・信貴山系の西斜面に河内六大寺の伽藍、前方には誉田山古墳(伝応神天皇陵)などの古市古墳群の墳丘を望みながら松岳山古墳の下の静かな水面にいたりました。北側斜面には、横穴を掘る人や平尾山の土まんじゅうのような古墳が見られたのではと思います。
 さらにここから、奈良盆地に入るまで、山の斜面が迫り、深山幽谷の中、南側に七重の塔があった河内国分寺を見ながらさかのぼりました。少し上流には、岩が露出し、急流で有名な「亀の瀬」の峡谷があります。さすがにここでは舟を下り、しばらく徒歩で歩き、新しい舟に乗り換え飛鳥や奈良に入りました。
 このように、本校を取り巻く地域は地理的・歴史的に興味の尽きない場所です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
生徒の作品より
 
*成果と課題
 
これらC回におよぶ公開授業の実践の結果得られた共有化への問題点を列挙しておく。
 
1.パワーポイント利用の教材作成には事前の膨大な作成時間に対して、授業が単調になりがちである、工夫を凝らして板書型の従来タイプの授業との併用が望ましいのではないだろうか。
 
2.1時間の授業すべてをPCを利用して行うよりも導入やまとめでの活用が有効であった。また、実物教材の使用、ロールプレイングとの併用も効果あるものとして認識された。
 
3.IT環境の問題が大きな制約となる。
学校によってプロジェクターの有無、管理上の問題点など克服しなくてはならない問題点が山積みといえよう。以下にIT環境の問題点を列挙しておく。
 
IT環境の問題点
 
@社会科教室等に配線されているLANのセキュリティー上の問題
 
自由に外部のHPにアクセスできない等の点に関しては、学校情報ネットワーク(大阪府の場合)以外の回線を確保するなどして別のインサーネット環境の構築が必要であろう。
 
A機材等の管理上の問題点
 
学校によってプロジェクターの有無、また、あってもその管理上の問題が生じてくる、筆者の勤務校を例に挙げると、きちんと管理しようとしすぎて制約が多すぎ実際上スムーズに貸し出してもらえない。そのような学校がある一方で、何台も購入し比較的自由に使用できる学校もある。また、学校の予算配分の観点から学校全体の意志として、プロジェクターをはじめPC本体、プリンターその他のIT最前線関係の備品についてのまだまだ認識が低く多くの学校では従来型の備品購入や予算執行の形をとっている。この点関しては、重点校を決めて順次IT環境整備のための予算を認めていく必要を痛感している。
 
B機材操作という初歩的なサポートにおける人的問題
 
 機材管理もさることながら、機材の操作に精通している管理者がいて、操作の共有化を
はかり、全教員が気軽に操作できる環境作りも今後の課題である。IT初級者には個人のPCと授業時のPCとの違いが操作性の障害になることも認められた。それに伴い周辺機器との操作性にも課題が発生する。
 
4.恒常的な支援体制の必要性 = 学校を越えた支援体制作り
 ・研究会組織と機能の充実
   ハード的支援 = PC・プロジェクター等の充実
   ソフト的支援 = 設定・ソフト使用法伝授
 ・HPの利用促進と充実
   活用規定 ・ 実践提示(利用活用例の提示)
 
いずれにせよ、
「みんなで収集し、活用する」、「はじめは誰でも初心者」、「難しい著作権処理などはマニュアルで」、「困ったらヘルプ!誰かがサポート」の観点からもっと気楽なコミュニケーションの中で教員集団が機能しあえる支援体制を確立したいものである。
 


 
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