2 教育情報のWeb上での共有化手法
 
@HP作成とその効果 画像コンテンツ共有とその活用
 
 1のような手法で大阪の社会科教員のIT度や教育情報共有化に関する意識・期待感を整理し、現状を確認した上で我々は初歩的なレベルでの支援を中心に大阪の教員のIT活用技能の底上げやIT環境の裾野の拡大を試みた。Web上での教育情報の共有化をはかるにしても教員のIT度が低ければ実質上利用が進まないわけで、文書(紙ベース)の案内(共有化プロジェクトの実施案内やHPの活用案内)も多用しながら、まずはHPを見てもらうことを目指した。さらに研究会案内公文書(紙ベース)で画像コンテンツの募集やIT講習会の案内を繰り返しながらWeb上での共有化を進めた。こういった文書レベルでの案内を併用しながら前年度より立ち上げていた社会科研究会HPを大幅に改変した。
 
 主な改変点は、本プロジェクトの予算を活用しサーバーの容量を大幅に拡大、動画も含めた画像コンテンツの増加に備えた。また、Xoops(ズープス)を使用し、インタラクティブなWebページにスタイルを一新した。さらに以前からのHPをアーカイブし、研究会の案内や行事の連絡は行事カレンダーから申し込みも可能な形に変更した。
 このようにスタイルを変更したHPで画像コンテンツ収集(目標3000枚 現在1145枚(3月14日現在))と教案収集(35教案3月14日現在)を目指し共有化を進めた。
 教員が持つ教育情報のWeb上での共有化システムを構築しWeb上での連携の可能性を追求するために具体的には以下ような共有化手法を試みた。
 
 @画像コンテンツ収集とその利用 → 画像コンテンツの目標数3000枚
 A画像コンテンツ増量のために  → 「地域教材」撮影会(2回)の実施
 BHPへのアップロード方法普及のために → 講習会@A
 C利用促進の手法 → 研究会世界史部会 画像を貼り付けたプリント作成講習会
 D指導案の共有化 → 集まった指導案の数(35)
 E研究会活動の情報伝達の公開と迅速化 → xoopsによるHPの充実
                      カレンダー機能の充実
                      Webページ上からの申し込み受付
 FHPを通しての教材開発・電子会議 → フォーラム・電子会議の試行
 G他の利用価値の高いHP紹介 → リンク
 
 また、本ホームページの作成上の工夫点や他のHPにはない特徴、すなわち共有化WEBサイトの目標として、
 
 @使いやすい
  ・役立つ教材が直ぐ見つかる。→ 画像コンテンツ・教案の多さ
 A魅力がある
  ・活用事例集の作成。
  ・自分の教材も投稿したい。 → インタラクティブ(双方向性)を重視
 B安心できる
  ・著作権の指針が確立している。→ 著作権マニュアル・フォーム
  ・バックアップがきちんと出来ている。
 
 という3点を特に意識して整理を進めた。
 
 アクセスカウンタ 007633 (3月14日)  005187 (12月27日)
 
 本HPは、2004年5月17日より運用を開始し、5月28日本研究会役員会の承認を受け、本格実施となった。同じドメインからのアクセスは1日に1回しかカウントされないシステムの元で、アクセス件数では、7633件。(3月14日現在)1日のアクセス件数はおおよそ30件前後である。アクセス件数から考えて、本プロジェクトの目標はまだまだ充分に達成できているとはいえないが、当初に比べてかなりのアクセス件数があるようになってきた。また、比較的閉鎖的な組織のHPへのアクセス件数としてはかなりの件数といえるのではないかとも判断する。
 本研究会では、前年度より従来の機関誌の発行に加え、レンタルサーバを利用した旧HPの運用開始していたが、今回本プロジェクトの開始と共にXoops(ズープス)を導入しその旧HPを大幅に改変した。XOOPS(ズープス)とは、ユーザ登録型コミュニティサイトを立ち上げることが可能なPHP言語を用いたコミュニティサイト構築用ソフトである。このことにより従来は研究会のからの情報を一方通行的に流していた形のHPであったが、インタラクティブなWebページへとスタイルを一新することが出来た。また、旧HPはアーカイブし活用、研究会の案内や行事の連絡を行事カレンダーから申し込みが可能な形に変更した。
 
  ※XOOPSとはeXtensible Object Oriented Portal System の略で、直訳すると「拡張可   能なオブジェクト指向ポータルシステム」ということになります。
 
  ※ポータルシステムとは、「コンテンツマネジメントシステム(CMS)」とも呼ばれ   ることもあります。日本ではまだあまり聞きなれない言葉ですが、海外ではすでに   多くのユーザの間に広まっており、これを素直に訳すと、「サイトのコンテンツを   管理するためのシステム」ということになります。
                         (XOOPS HPの説明より引用)
 
 
 次に、こういった特徴を持つ本プロジェクトのHPメニューを紹介して行こう。
 
大阪府高等学校社会(地歴・公民)科研究会HPのメニュー について
 
 ホームページのメニュー(Main Menu)より各メニュー毎にそれぞれのメニュー(ページ)のねらいや現状と問題点を整理しておく。
 
ホーム
 HP開設以来状況に応じて適宜スタイルを更新している。 現在は最近投稿された指導案を一番上に置き、最近の話題(フォーラム)、画像コンテンツの最新リストと配置している。フォーラム等に少しでも多くの書き込みを促すことでより活発な共有化HPを目指す。
 
研究会行事カレンダー
 研究会各部会の行事を掲載し、自由に閲覧できる。その項目をクリックすると行事の詳細が掲示され、申し込みも可能である。将来的には、教科関連の展覧会やイベントの掲載等にも活用できる。
 
画像コンテンツ(皆で作る)
 本HPの一番の売りである画像コンテンツのページ。現段階では、ホームと同じに設定されているが、サムネイル一覧方式や検索方式など様々な改善の可能性がある。今後も充実させていく予定である。
 
高人気
 本HPの画像コンテンツは見た人が評価を投票出来るように設定している。活用度の高いもの、希少価値のある写真等参考にしているユーザー側のニーズを知る手がかりにもなる。高人気のページではヒット数の多いものの順に評価や投票件数も一覧できる。
 
トップランク
 トップランクのページでは評価の高いものの順に掲載されている。教員の興味がうかがえる上により利用価値の高い写真がわかる。
 
重要:登録、著作権、投稿
 このページでは、FAQ(よくある質問と回答)という形で、登録規定・ 登録できる会員、準会員とは・登録の方法・大阪府高等学校社会科(地歴・公民)研究会会則・画像の投稿の方法等を整理し掲載している。
 
フォーラム(交流の場)
 教育情報の共有化に欠かせない意見交換を目的にフォーラムを設定している。今後このフォーラムで居ながらにして活発な意見交換がおこなわれることを期待している。
 
指導案、教材、講演レジメ
 このページには共有化の中心である各先生の教案を募集し、掲載し、参考にしてもらうコーナーになっている。3月16日現在、地理 (5)・地域教材 (7)・総合的学習 (2)・世界史 (6)・政治経済 (1)・倫理 (0)・日本史 (4)・現代社会 (3)・その他 (1)の計32教案と指導案提出の際の雛形である指導案のフォーム (2)(一太郎バージョンとワードバージョン)がアップされている。
 
研究会HPのアンケート
 研究会ホームページで、役に立つと思われる分野は? という質問に対して、7つの質問項目が用意されており、現在投票数は少ないものの当プロジェクトに期待されている点を確認することができる。この結果から@研究会の行事予定の確認(40 %)・A教材の登録・共有化(40 % )・BIT活用授業への情報収集(20 %)の3点で期待されていることがうかがえる。
お勧めリンク(皆で作る)
このページでは、登録会員のお薦めのWebページを紹介し、リンクを張っている。
 
各部会ページ
 研究会旧HPのアーカイブともいえるページである。研究会全体のHPが充実してきたことで見直しが必要であろう。各部会の年間活動計画や行事予定を掲載し、部会毎の意見交換の場や部会毎の研究活動の充実の場として今後リニューアルしていきたい。
 
共有化事業の報告
 今回の共有化プロジェクトの集大成のページとして位置づけることができる。1年間の研究活動を集約し、報告書CDの目次にもなっている。
 
共有化アーカイブ
 共有化アーカイブとして、
 
 「近江中山道」 撮影 写真家 辻村耕司氏 全259枚掲載
 「大阪の地域巡検」 昭和60年 全ページ 掲載
 旧社会科研究会ホームページ  
    2002年9月〜2004年5月末まで掲載
 2003年度一般公開講座実施報告 
    富田林・羽曳野の歴史と地場産業 掲載
 
 様々なジャンルの実践や活動をここに集めてアーカイブしていく。今後の充実が要求されるページである。
 
本年度行事報告
 行事報告は、行事後の迅速な報告が必要である。今後このページの充実を図るためには、各担当者への報告の義務づけと報告のシステムの確立が必須であろう。また、IT度の低い会員でも報告できるように文書ベースのフォームも用意した方が現状ではいいのかもしれない。また、各部会ページとの整理統合も考えられる。その際はこのページを純粋に役員会や各部会の理事会等の報告のページにしてしまう方法もある。そのあたりを整理していく必要性を感じている。
 
カウンタ
 キリ番などの掲載
 
申込み受付中
 このページでは、各行事の申し込みをWeb上で受け付けられるようになっている。今年度は一部の利用であったが、次年度以降このWebページの普及と活用のためには出来れば行事の参加申し込みはこれ一本でおこなう方法が望ましいと考えている。
また、各担当者が新規イベントの登録をおこなえるように設定されている。
 
 アクセスカウンタ 007700(平成17年3月16日現在)
 
A開催事業(講習会)の報告
 
 この共有化手法の試みの中では、
 
「みんなで収集し、活用する」という目標から
                              (括弧内は参加者数)
1,画像コンテンツの収集 → 画像コンテンツ簡単アップロード講習会
               +デジタルカメラ撮影会(2回)の実施(21+3名)
 
2,従来からのプリント写真のスキャナーへの取り込み方講習会(2回)の実施(3名)
 
「はじめは誰でも初心者」という観点から(括弧内は参加者数)
 
3,第1回I T セミナー 8月23〜26日 4日間
  パワーポイントの使用活用法講習会 (7名)
  @I Tを活用した教材作りを体験 → A参加者による公開授業(4回)実施
 
4,第2回I T セミナー 11月7日(日)
  フラッシュ・パワーポイントの使用活用法講習会 (5名)
 
5,生徒への指導法等のソフト使用技術の充実あるいは出前授業(メールでの連絡のみ)
 
6,ワードとインターネットを使った世界史プリント作成講座(17名)
  (世界史経験交流会) 教育センターの情報教室利用 
             教育センター・NPO(MEF)との連携
 
  ※ 社会科研究会世界史部会 世界史経験交流会 → 別紙
     ワードとインターネットを使った世界史プリント作成講座
     日時 2005年01月21日 (金曜日)  14時 00分〜17時 00分
     場所 大阪府教育センター
 
を行いIT技術や画像コンテンツの共有化を図る等々、考えられる様々な角度からの試みをおこなった。また、毎回の講習会の後に研究協議を重ね、共有化への問題点を追求してきた。以下にその内容を記しておく。
 
1,画像コンテンツの収集に関して
 この撮影会は@画像コンテンツ簡単アップロード講習会とA「地域教材」撮影会を兼ね当日の参加者は、簡単アップロード講習会終了後、個別もしくはグループ毎に撮影へ移動してもらい後日少なくとも5枚は大阪の地域教材をアップロードしてもらう形で実施した。HPへの登録とアップロードの仕方を説明し、ITに慣れていない先生方にもまずは心理的な面から容易にアップロードできる実態を知ってもらうことができた。
 土曜日に実施したが当日の人数の多さ、会場のMEF事務局が満員状態になり盛況を呈した。当日は地下鉄1日乗車券を参加のきっかけとし参加を促したことも功を奏したのか多くの方に参加いただくことができアップロード数も大幅に増加した。
撮影会参加人数とアップロード数
 
2,従来からのプリント写真のスキャナーへの取り込み方講習会に関して
 1と同様に、プリント写真のスキャナー取り込み方法を伝授するという初歩的な講習会も実施し、会員が従来から持っているプリント写真で教材性の高いものを画像コンテンツに取り込んでいく試みをおこなった。この講習会では研究会活動一つである見学会等に参加し几帳面に整理されていた先生の申し出もあり大変貴重な写真をデジタル化することができた。また、個人的に全世界を旅している会員の協力を得て、過去に撮影した教材性の高い写真を大量にアップロードして頂き画像コンテンツが大変充実した。この手法で新たに撮影するよりも多くの画像コンテンツが入手できる可能性を見いだすことができた。
 
3,第1回I T セミナー に関して
 このパワーポイントの使用活用法講習会では、3 授業用デジタル教材の実作活用・支援手法 を意識し、外部スタッフの技術的サポートという連携を試みた講習会で、一連の講習会中でもっとも重きを置いたものであった。私立高校も含めて多くの先生方から問い合わせがあり、日程の都合で参加できなかった先生もあった。夏休みという日程はクラブ活動等様々な予定との調整が難しい場合も多く、単に夏休みだから1日を活用した講習会をと考えても調整がつかないことも多かった。詳細については3 授業用デジタル教材の実作活用・支援手法の項で報告する。
 
4,第2回I T セミナー に関して
 第2回講習会では、第1回に引き続きパワーポイントの講習会とリッチコンテンツ作成ツールFlash(フラッシュ)の講習会を実施した。
 
5,生徒への指導法等のソフト使用技術の充実あるいは出前授業に関して
 この取り組みに関しては、申し出もあったが、今回はメールと電話での連絡のみで対応した。共有化の手法としては有効と思われるので今後気軽に出前授業などができる研修環境を整えていき、あわせて公立と私学など学校間の経験交流を広げていきたい。
 
6,ワードとインターネットを使った世界史プリント作成講座に関して
 本研究会で従来より行われている研究会活動1つに各部会毎の経験交流会がある。教員相互にお互いの授業実践を披露したり、教員以外の講師経験者からの報告・外国人講師の異文化体験を交えた講師経験報告など幅広い経験交流を目指し共有化を図っている。平成11年(1999年)度には「インターネットを使った世界史授業」という経験交流も行っている。今年度はこの世界史経験交流会の中で、本プロジェクトと連携しこの講習会を持つことにした。内容的にはワードを利用し写真を取り込み貼り付けた世界史教材プリントを作成するという初歩的なものであるが、このレベルでプリントのデジタル化に一歩を踏み出せないでいる先生や一寸したことを身近に聞くことができないでいる先生が、改めてワードの様々な機能の使い方を確認することができたと好評を得た。
 世界史だけでなく、地理・日本史・政経・倫理等の科目の枠を超えた講習会の開催が望まれる。
 
BHPを通じての連携の可能性を追求
 xoopsによるHP構成(設計)の可能性について → XOOPS導入秘話
 


 
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